フェンシングの相手を「読む」ためのノート術 — 自分の分析も込みで
フェンシングは狭い世界です。数シーズンも剣を交えれば、地元の大会から「初めて見る相手」はほとんどいなくなります。プールの組み合わせ表には知っている名前が並び、対戦したことのあるスタイルが並び — 正直に言えば、繰り返してきた負けも並びます。
この記事は、その世界を攻略するための具体的なノート術です。ノートをつけているフェンサーたちの習慣をもとにまとめました。アプリは必須ではありません(作ってはいますが)。相手ごとに1ページと、少しの根気があれば始められます。
相手について書くこと
まず、作文をしようとしないこと。読み返すのは招集場所で、マスクを小脇に抱えた状態です。だから長い文章より、短い断片のほうが役に立ちます。相手ごとに、次の4つの欄を用意してください。
基本情報。 利き手、グリップ、種目、入りの傾向。変わらない部分です。「左利き・フレンチグリップ・エペ。毎試合、距離を測るところから入る。最初の1本は遅い」
相手に効くもの。 できるだけ状況込みで。「カウンター狙いのところに二段構え。攻撃と読むと全力で乗ってくるので、その裏が空く」
自分がやられているもの。 書いていて気分のよくない欄ですが、いちばん価値があります。「2敗ともラスト3本での低いラインの拾い。疲れると足が止まる。向こうはそれを知っている」
次回。 命令形のひとことを、緊張している未来の自分あてに。「序盤3本、ロングで入るな。先に出させろ」
「どこで」を記録する
フェンシングのノートには、他の競技にはあまりない要素があります。位置です。ピストのどこでトゥッシュが生まれたか。同じ相手との対戦では、トゥッシュの場所は偏ります。相手のポイントは自分が下がった自陣側の端に、自分のポイントは得意な中央に、というように。
ピストの図に印をつけるだけでいい — 相手のはここ、自分のはここ。この印は文章の一段落分の価値があり、数試合分たまると、ふたりの力関係の地図になります。
(OpponentBook のピン機能が、テキスト欄ではなく警告ゾーンまで正確に引いた本物のピストの図を使っているのは、まさにこのためです。もっとも、印刷した図と鉛筆でも最初の一歩としては十分です。)
書くタイミング
このノート術の肝は、量ではなくタイミングです。
- 試合から1時間以内。 細部が生きているうちに、断片を3つ以上。帰りの電車が定番です。
- 大会の前夜。 今度は書かずに、読む。プールにいる全員のページを開く。ここがこの仕組み全体の回収ポイントで、10分もかかりません。
- 読んだら、読んだと印をつける。 シーズンを通して、「読んでから臨んだ試合」と「そうでない試合」の成績を見比べてください。この数字が習慣を続けさせるか、やめさせるか決めてくれます。どちらに転んでも収穫です。(OpponentBook はこの集計を自動でやりますが、紙なら欄外のチェックマークで足ります。)
ノートが自分に向く日
ワンシーズン経つと、このノートは静かに向きを変えます。10人分の「自分がやられているもの」の欄を通しで読んでみてください。そこに出てくるのが、本当の弱点です。自分がそう思い込んでいる弱点ではなく、別々の相手のページに繰り返し現れる弱点。疲れたときの間合い。同じ方向に引いてしまう同じパラード。読まれやすい試合の入り。
対戦相手たちは、あなたについてのこのリストを、すでに頭の中に持っています。だったら、より精度の高い版を自分で持っておくほうがいい。
OpponentBook は、フェンサーをはじめとする個人競技の選手のための対戦相手ノートです。ピストの図面、ピン、動画、大会前ブリーフ — 保存先は自分のクラウドストレージ。ノート機能はすべて無料です。